アラーム療法とデスモプレシンの比較
夜尿症治療期間の報告は少ないです。その理由は、自然治癒が多いことと、一人ひとりの病像が異なるので、比較が難しいからです。
白柳慶之先生の文献を紹介します。
結果は、以下のようです。
・どちらの治療法も治療期間に有意差はなかったが、アラーム療法は短い治療期間で治る傾向にあった。
・デスモプレシンは短期間で中断した例が多かった。
表1
アラーム療法 | デスモプレシン | |
例数(人) | 25 | 110 |
治癒(人) | 11(44%) | 48(44%) |
継続中(人) | 5(20%) | 30(27%) |
中断(人) | 9(36%) | 32(29%) |
表2
アラーム療法 | デスモプレシン | |
平均年齢 | 7.7 | 8.9 |
治癒例の平均週数 | 29 | 40 |
継続例の平均週数 | 72 | 72 |
中断例の平均週数 | 36 | 13 |
どちらの治療法も試してみる
デスモプレシンは夜間多尿の子には効果が期待されます。
内服なので、初めに試すことが多いのですが、治る前に止めてしまうことが多いようです。
アラーム療法は、膀胱型も含めて、すべての夜尿症に勧められています。
デスモプレシンで治らないときは、次の手段としてアラーム療法を試すことが大切です。
アラーム機器のレンタル
アラーム機器は健康保険が使えませんので、敷居が高いのが現状です。
当院は保証金をお預かりして貸出ししています。返却時に全額お返しすることで、取り組みやすくしています。
アラーム療法を試したことのない子どもさんはご相談ください。
治療を始める時期
小学校高学年になると塾やクラブ活動で夕食後の水分制限が難しくなります。親の言うことも聞かなくなるし、劣等感も増します。
宿泊行事が多くなる前の低学年のうちに、治療を始めることをお勧めします。
(参考) 白柳慶之 夜尿症に対する初期治療の違いによる治療期間の検討(題は要約しています) 夜尿症研究 2018;23:39